シロップ

緩やかに溶け合う、シロップのような空間ができないか。

使い手にすべてを委ねる空間は実は自由度が低いとも感じています。あまりに自由だと想像が及ばず決まった使い方に留まりがちです。ニュートラル過ぎるよりも個性があること、その個性によって使い手の想像がふくらむ、それが液体のような溶け合う空間になると思っています。

この住宅には大きな箱が家の中心に置かれています。この箱はリビングにもなり、デスクにもなり、ベンチにもなり、寝る場所にもなります。箱の周りは回遊でき、生活に必要なスペースが連続的に並んでいます。 基礎の形状を生かした床の段差は空間の質が変わるきっかけになっています。 間仕切り壁はなくとも、部屋の質の違いを感じ、ちょっとした距離を取りながら家族が大きなワンルームの中で思い思いに過ごすことができます。

住み方は家族構成や成長に伴って変化していきます。濃密な液体であるシロップは、種類も多ければ、様々なものと合わせて楽しむ事ができます。この住宅も住み方や家族構成、成長などの変化と混ざり合っていくことを目指しています。